日本国内の中でも人口増加数や地価上昇率が国内トップとなるなど、勢いある都市として注目集まる福岡市。それゆえに、人口密度の高いアジアの大都市の一つとして、コンクリートジャングルの延長に過ぎないと誤解する人がいるかもしれない。
しかし、カナダのトロントで生まれ育ち、東京、大阪で社会人生活をおくって福岡に移住した筆者の経験からすると、福岡・九州を知らない人が陥りがちな誤解は理解できるが、まったく違うと胸を張って言える。
福岡はにぎやかであるが、大都市ではないスケール感は、ここで暮らす人にとって”ちょうどよい”都市である。ここに暮らす駐在員たちの多くが、福岡での生活を気に入る(時には、駐在が終わっても戻ってくる人もいる!)のも、都市の機能を享受できる上に自然に近く、まちの活気を感じることができるからだ。
つまり、福岡の真の魅力は、都会的であることに加え、豊富なアウトドア施設が身近にあることだと言える。
まず海に面していて、山も近く、そこまでのアクセスも容易だ。手軽に楽しむことができるアクティビティが充実しているのも、誰もが楽しめる大切なポイントだ。パンデミックを経て、クオリティオブライフ(QOL – 生活の質)が重視されるようになり、どこで暮らし、どうやって働くかを自分で決められることに気づいた人も多い。幸いにも、私が暮らしている福岡は、そのQOLを左右するアウトドアが充実しているため、暮らしたいまちとして選ばれるようになっているのだ。
最近では、まちとしてもその需要に応えるように施設の整備が進められ、リニューアルなどを行い、これからの世代の人々が親しみやすいスタイルへと移行している。その代表的なスポットをいくつか紹介しよう。
丘へ向かおう – ABURAYAMA Fukuoka
アドベンチャーと自然が融合する福岡市民の憩いの場、ABURAYAMA Fukuoka。福岡市内で育った人や子育てした人なら一度は訪れたことがあるアウトドア・アクティビティスポットが、昨年大きくリニューアルした。福岡の中心部から車でわずか30分程の場所にある、農業・酪農・キャンプなど、自然に触れ合う様々な体験ができる大人にも子どもにも大人気の場所だ。
家族や仲間とのお出かけに最適なバーベキューエリアでは、グリルを囲んでアウトドアを楽しむことができる。都市部や、いつもの居住空間とは異なる環境で調理して食事する、これを手軽に、かつ、本格的に体験できる場所だ。
体を動かすことが好きな人には、ハイキングコースや自然遊歩道もある。地域の固有植物に囲まれた自然の中を、手軽に、そして、時には本格的に楽しむことができるよう、難易度が異なる複数のコースが用意されている。また、森の中のアスレチックコース「フォレストアドヴェンチャー」や、オフロードをマウンテンバイクで駆け抜ける「トレイルアドベンチャー」のコースもオープンしたばかりだ。
また、手ぶらで野菜作りができる貸し農園もあり、子どもたちへの食育の場として、そして、農業トレーニングや癒しの場として大人にも人気だ。園内で育つ野菜を摘んで石窯で焼くピザにトッピングして食べる収穫体験コースなど、まさに美味しいところ取りの体験が用意されている。
そして注目なのはキャンプ施設。テントやアメニティのレンタルもあり、経験レベルに関係なく手軽に体験できる。ラグジュアリーな滞在を求める人のために、間もなく宿泊施設もオープンする。サウナ付きのプライベートヴィラやコテージ、テント体験ができるグランピングなど、アウトドアとラグジュアリーを融合させた快適なステイが実現する。最大の魅力は、福岡の街並みをパノラマビューで見渡すことができる夜景。泊まった人だけの特典だ。
ABURAYAMA FUKUOKA
・https://www.aburayama-fukuoka.com/
・福岡市南区桧原855-4
・9:00〜18:00
志賀島へと続く東のビーチリゾート – 光と風の広場
日本と大陸を繋ぐ海の玄関口、志賀島。島とはいえ実は陸続きで、途中は両脇が海の道(まさに”海の中道”!)を通って、または、ももちや博多港から船で行くことができる。その博多湾と玄界灘に囲まれる海の中道にあるのは広大な国営公園「海の中道海浜公園」。四季の花々が咲き誇り、動物とのふれあいができる自然動物公園として、夏に営業する大型プールと合わせて親子連れに人気のスポットだ。
2022年に、「憩う・学ぶ・遊ぶ」を体験できる宿泊施設やレストラン、アスレチックなどの滞在型レクリエーション拠点「風と光の広場」が誕生し、泊まれる公園として注目されている。
アドベンチャー好きには、国内最大規模を誇るアスレチックタワー「シー・ドラグーン」は見逃せない。高さ16.8mにある展望デッキから絶景を楽しむだけでもいいが、空中散歩やクライミングなど92種類ものアクティビティは、子どもから大人までアドレナリン全開で一緒に楽しむことができる。
そして、ユニークな外観の直径6mの球体テントや、独立して建つスイートルーム、1人で泊まれるキャビンや、自分のテントを持ち込むキャンプエリアなど、それぞれの好みとレベルとアウトドアライフを体験できる。
園内には、大型犬も走り回れる広いドッグランや、電動キックボード、e-bike、クロスバイクなど、広大な敷地を楽しく簡単に散策できるオプションがある。海岸線沿いをのんびり走るもよし、公園内を隅々探検するもよし。環境にやさしく、身体にもいい、多様な選択肢がある。
また、海岸や森の中を馬と一緒に歩く乗馬も最高の時間を約束してくれる。松の木の香りや海風を馬上で感じる特別な体験は、自然との親密なつながりを感じさせてくれるはずだ。
INN THE PARK 福岡
・https://www.innthepark.jp/fukuoka/
シー・ドラグーン
・https://seadragoon.jp/
・10:00~17:30(受付は9:30~16:00)
・定休:水曜(12月~2月は水・木曜)、年末年始、2月第1月・火曜
ホースライディング
・https://kokopelli-horse.com/uminaka/
・9:30~17:30(11月~2月は17:00まで)
・不定休(7・8月は休業) *悪天候の場合、休業
海の中道海浜公園
・https://uminaka-park.jp/
・福岡市東区西戸崎18-25
・9:30~17:30(11月~2月は17:00まで)*入園は閉園1時間前まで
・定休:12月31日、1月1日、2月第1月曜とその翌日
・入園料:¥450、中学生以下無料
アイランド・エスケープ!のこのしまアイランドパーク
穏やかでロマンチックな雰囲気を求めるなら、船でしか行くことができない離島、能古島にある「のこのしまアイランドパーク」も選択肢の一つ。四季折々の花が圧倒的なスケールで咲き誇り、ここが福岡市であることを忘れてしまいそうだ。
島内には能古島キャンプ村もあり、海水浴場の前に泊まれるキャンプやバンガローもあるが、
2022年夏に、のこのしまアイランドパーク園内に、落ち着いて泊まることができる戸建てタイプのコテージ10棟がオープンした。愛犬と泊まることができるコテージもあり、公園の中に暮らす体験ができる。また、夏には野外音楽フェスティバルが開催され、自然と音楽が融合する最高の場を提供する。
島に行くことから体験は始まる。10分程の短いフェリーの旅だが、ちょっとしたバケーション気分を味わえる。
写真提供:福岡市
花々や、自然の中でのバーベキュー、散歩したり、泊まったり、音楽を聴いたり…。のこのしまアイランドパークは、シンプルながらも、リフレッシュに必要な要素を備えた福岡の魅力の一つだ。
のこのしまアイランドパーク
・http://nokonoshima.com
・福岡市西区能古島
・9:00~17:30、日祝9:00~18:30
・年中無休
・入園料:¥1,500、小中学生¥800、3才以上¥500
アクセス:
姪浜渡船場よりフェリーで能古島渡船場へ(約10分/片道¥230)。フェリーは6時頃から22時まで1時間に1本程度。能古島渡船場到着後、西鉄バス「アイランドパーク行き」に乗車(約13分/¥260)。
ビーチサイドのキャンプ – 唐泊VILLAGE
糸島半島にある小さな集落「唐泊」に誕生したグランピング場、唐泊VILLAGE。漁村から森の方へと進むと、広場を囲むように扇状に広がる山地に、可愛らしい形の宿泊空間インスタントハウスが点在する。
キッチンスペースやテントサウナなどもあり、手ぶらでキャンプ体験ができるので、誰でも気軽に利用できる。小さな白砂のビーチもあり、静かに過ごしたい人にうってつけの場所だ。もちろん、自分のテントを持ち込むこともできる。
唐泊VILLAGE
・https://www.karadomari.jp/
・福岡市西区宮浦273-1
Fukuoka Now x Fukuoka City