福岡の街中には、ヘンリー・ムーアやキース・ヘリングなど国内外のアーティストが手掛けたパブリックアートが200作品以上点在しています。
今や、多くの人が一度は目にしたことがあるであろう、草間彌生の《南瓜》は、1994年10月の一カ月間、福岡市中央区天神の銀行前に突如現れたアートでした。これが草間彌生が初めて手がけた野外彫刻作品であり、この作品を皮切りに色鮮やかな立体作品が制作され、世界中に展開されています。この《南瓜》は、その後、福岡市美術館のコレクションとなり、2階の屋外広場に設置されています。
南瓜
・作者:草間彌生
・制作:1994年
・撮影:1994年10月福岡銀行本店前に展示時
新旧様々な作品がありますが、福岡の街なみに馴染む多くの作品は勃発的に設置されたわけではありません。街という概念を様々なスタイルで解釈し、多様な仕掛けや試みを行う、まちを愛する人々のリーダーシップと、それを受け入れてきた福岡市民のおおらかなキャラクターとが融合した成果物なのです。
1983年に、ゆとりとうるおいのあるまちづくりを市民全体で共有できる都市空間を生み出すため、「彫刻のあるまちづくり」が行政主導でスタートしました。1990年には、近年日本各地で行われている都市型アート・プロジェクトの先駆的事例として知られるアートプロジェクト「ミュージアム・シティ・天神」が民間主導で立ち上がりました。その後も、行政と民間が融合して市民参加型の企画やワークショップ、アーティスト・イン・レジデンス事業なども全国に先駆けて始まり、現在も続いています。
大名の大狛犬
・作者:中村弘峰
・制作:2023年
・所在:大名ガーデンシティ
子どもたちが登ったり触れて遊べるコミュニケーションアート。日本独自の存在である狛犬と、ザ・リッツ・カールトンのエンブレムでもあるライオン(獅子)が、一対の守り神となるよう、大名ガーデンシティに設置されています。
市民の文化芸術活動の発表の場「福岡市民芸術祭」は、1964年の福岡市民会館オープンを機にはじまり、今年で60年目を迎えます。毎年9月中旬から12月までの期間に100を超える多彩なイベントが催され、誰もが文化芸術に身近に接することができ、交流できる楽しい機会です。
福岡市民芸術祭
・2023年9月16日(土)〜12月31日(日)
・福岡市内各所で開催
・https://fcaf.jp/
・https://www.instagram.com/fukuokacaf
・Fukuoka Now Eventコーナー:https://www.fukuoka-now.com/ja/event/60th-fukuoka-citizens-arts-festival/
天神や博多など、多くの人が行き交う場所の他、1980年代にゆとりある街としてデザインされて誕生したシーサイドももち地区には、ユニークな17のパブリックアートが点在します。
道路も広く整備されていますので、自転車や徒歩で、建築やアートを見ながら散策することができます。
プードル
・作者:申 明銀(シン・ミョンウン)
・制作:1996年
・所在:博物館北口バス停側
風船のような丸いフォルムが印象的なピンクのプードル。ビジネス街に突然現れ、大きな存在感を放っています。
ノスタルジア・オブ・サーキュレーション
・作者:崔 在銀(チェ・ジェウン)
・制作:1996年
・所在:博物館北口バス停側
見る角度によって様々な形を楽しめる紺碧の円盤4枚によるオブジェ。
大きな愛の鳥
・作者:ニキ・ド・サンファル
・制作:1993年
・所在:地行中央公園
エジプト神話に登場する鷹の姿をした神・ホルスと、ギリシャ神話の愛を司る神・キューピットの二つのシンボルが結合した、フランスのアーティストによる色彩鮮やかな作品。
木の精
・作者:ドゥルーヴァ・ミストリー
・制作:1993年
・所在:地行中央公園
インドで生まれ、イギリスで活動するアーティスト、ドゥルーヴァ・ミストリー。インド彫刻独特の伝統的な美しさを太くまろやかな曲線で表現したブロンズ作品です。
松の実
・作者:外尾悦郎
・制作:1993年
・所在:地行中央公園
スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリアで、主任彫刻家を務める外尾悦郎による作品です。
向波容
・作者:清水久兵衛
・制作:1996年
・所在:RKB毎日放送前
緑に囲まれる鳥居にも見えるこの作品は、RKB毎日放送の電波と海の波を人が重なり支える姿を表しています。
ウォーターランド
・作者:菊竹清文
・制作:1989年
・所在:百道中央公園
久留米出身のアーティスト・菊竹清文の作品。シーサイドももちエリアが開発されるきっかけとなった博覧会・よかトピアに合わせて作られた作品です。
もちろん、室内で楽しむことができるミュージアムもあります。博多の地域文化を鑑賞したり、最新のテクノロジーを活用したデジタルコンテンツを体感したり、多様な体験を楽しむことができます。
福岡市美術館
福岡市中央区大濠公園1-6
https://www.fukuoka-art-museum.jp/
福岡市博物館
福岡市早良区百道浜3-1-1
https://museum.city.fukuoka.jp/
福岡アジア美術館
福岡市博多区下川端町3-1リバレインセンタービル7・8F
https://faam.city.fukuoka.lg.jp/
「博多町家」ふるさと館
福岡市博多区冷泉町6-10
https://www.hakatamachiya.com/
チームラボフォレスト福岡
福岡市中央区地行浜2-2-6 BOSS E・ZO Fukuoka 5F
https://www.teamlab.art/jp/e/forest/