日本の磁器発祥の地・有田。17世紀初頭(江戸時代初期)に、日本で初めての磁器がこの町で焼かれて以来、日本の磁器生産の中心産地として栄えてきました。
今は佐賀県有田町とその周辺地域で製造される磁器を「有田焼」と呼びますが、当初(1610年代から1650年代まで)は、有田の焼き物は出港地名をとって「伊万里焼き」と呼ばれ、素地が厚く染付が主な装飾スタイルでした。1643年頃、初代酒井田柿右衛門が多彩色の染付を確立し、それまでの単色の素朴な印象のものから、乳白色の素地に陶磁器用の絵の具で彩色を施し繊細な模様を描きこんだ 「柿右衛門様式」が主流になりました。1650年代からは、オランダの東インド会社によってヨーロッパに輸出されはじめ、有田焼は裕福なヨーロッパ人のステータスの象徴となります。また、1867年のパリ万博に参加して好評を得て以降、ヨーロッパで盛んに開催されていた万国博覧会へ積極的に参加し、海外での名声を確固たるものにします。1870年にはドイツから化学者を招き、工業的に製造する方法など西洋の化学を学び、生産も伸ばします。現在も食器や美術工芸品を中心に地域全体で分業性で生産を行うだけでなく、泉山磁石場跡などの跡地が国の史跡に指定されたり、地区の町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されるなど、有田焼をとりまく歴史や文化が広く認められています。
車
長崎自動車道・西九州自動車道「波佐見有田I.C.」から車で5分
列車
JR有田駅(JR博多駅から1時間20分程度)
黒牟田・応法地区の煙突
有田焼窯元が軒を連ねる江戸時代から続く窯場。古窯跡や史跡など歴史遺産も多い。
有田ダム
「秘色の湖」とも呼ばれるダム湖。青緑色の水面が、周りの緑豊かな森を、季節に応じて緑、黄色、赤、オレンジなどの色に映し出します。
陶山神社
鳥居や狛犬まで磁器でできたユニークな神社。有田焼陶祖・李参平の記念碑がある。
泉山磁石場
17世紀初頭、朝鮮出身の陶工、李参平がこの地で高品質のカオリン(陶土)を発見したことにより有田での磁器製造が始まったと伝えられ、日本磁器の発祥地として知られています。
有田焼を知る、体験するツアー
観光ガイドと共に有田焼の産地を巡るツアーは3種類。全コース、発着はJR有田駅。
時代を象徴する有田焼の食器で楽しむ豪華懐石ランチ
時代物の有田焼陶磁器の収集家がオーナーを務めるレストランで、懐石料理コースを有田焼の器で楽しみます。さまざまな様式や時代を網羅する有田焼のコレクションを鑑賞し、希望であれば購入もできます。昼食の後は源右衛門窯を訪問し、工房で職人達の作業や、伝統的な窯を見学します。(4時間 / ¥24,750〜)。
ガイド付ツアーの詳細、申し込みはこちらから。
自分流のユニークなデザインで有田焼コーヒーマグづくり
有田焼を学ぶ海外アーティストの拠点にもなっている幸楽窯で、地元の陶芸家と一緒に有田焼きデザインの転写シールを使って、オリジナルの有田焼タンブラーを作ります(2時間45分 / ¥11,875〜)。
ガイド付ツアーの詳細、申し込みはこちらから。
有田焼プライベートツアーと時代物の陶磁器の宝探し
名窯が密集しているにも関わらず、ややアクセスが難しく、あまり見ることが少ない有田・黒牟田地区の窯を訪問するプライベートツアー。しん窯、源右衛門窯、幸楽窯を訪れ、それぞれの独自様式と特徴を学びます。職人が手作業で磁器を装飾する様子や、磁器がどのように窯の中で焼成されるかを学び、江戸時代のアンティークなどの歴史的なコレクションなども見学します。有田焼について学んだ後は、宝探しで運だめし!施設内を探索してお気に入りの磁器を手に入れましょう。(2時間30分 / ¥19,750〜)。
ガイド付ツアーの詳細、申し込みはこちらから。
Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn253, Jan 2020)