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文化の違いは精神の違い?

門を叩きなさい。そうすれば門戸は開かれるでしょう」私は日曜学校に真面目に通うような子ではなかったけれど、育った文化の中で自然に覚えた習慣というものがある。私たち西洋人は小さい頃から、何か問題があれば我慢せずに自分で解決策を探すように教えられてきた。だから日本人が簡単に解決できそうな問題に直面してもただ静かに耐えているのを見ると、日本に住むことは自分に鞭を打つことなのでは?と思ってしまう。
最近のスポーツクラブでのことなんだけど、サイクリングマシンの上方にTVが3つ設置してあって、それぞれ別の番組を放送していたんだ。1つ目はニュース、2つ目はトーク番組、3つ目はドラマだったんだけど、なんとそのドラマは中学生がレイプされるというものだったんだ。時刻は14時くらいだったかな。私以外には6人くらいがTVを見ながらサイクリングマシンに乗っていた。私はすぐスポーツクラブのトレーナーに、不快なのでチャンネルを変えて欲しいと頼んだんだ。そうしたら驚いたことに彼は「どのチャンネル?」と聞いてきたんだ。この3つの中でどれが不快なのか、いちいち説明しなければ分からない?!隣の人に「このドラマを好んで観ている人がいる?」と聞いたら、やっと彼は理解したみたいだった。さらに!トレーナーはこのドラマのチャンネルを変えていいかを周りに確認したんだ。一人の初老の男性が頷いてからようやくチャンネルは変えられたよ。


日本では、明らかに問題だと考えられることについても、問題解決にかかる手間の煩わしさを避けてしまっている。暑い日に、電車やバスの窓を誰かが空けっぱなしにして、そこから排気ガスがどんどん中に入ってきていても、みんな黙り込んだまま何もしない。窓を閉めるのってそんなに大変?エレベーターが満員で、車イスに乗った人が乗り込めなくて困っていても、誰も何もしない。エレベーターから下りて4メートル先のエスカレーターを利用することはそんなに勇気のいること?
可笑しな話はまだある。ある朝、駅で電車を待っていたとき目に飛び込んで来たおじさん。彼はズボンを下げて、なにやら怪しい動きをしている。はじめはさすがに自分の目を疑ったよ。あからさまに気付いた素振りを見せて何かが起こってしまうことを避けるためにも、周りの人たちは電車に目をやったり、新聞を読んだり、とにかくそいつを見ないようしていた。見るに見かね私は、その変質者にズボンを着ろ!と叫んだ。後日そのことを話すと、みんなが「もしかしたら刃物を持っていたかもしれないのに勇敢ですね。」と褒められたけど、奴は慌ててズボンのファスナーを閉めただけだったよ。
私は聖人になろうとか、そんなことは全く思ってない。ちょっとした気付きと行動で見直されることはたくさんあると思うんだ。何か問題があれば、それを改善するべく、まずは行動するべきだよ。たとえそれが些細なことであっても、動くことに価値があるんだと思う。
ちなみに、私の最近の問題解決のひとつは、4つの入口がある日本のお店が、2つしか開けずに残りに鍵をしている理由を解明することなんだ。どうしてこんなことを彼らがわざわざしているのか分からないけれど、これって気にする必要がないことかな?ドォデショ?
でもこれが、日本人が「自ら扉を叩かない」理由なのかもしれない。いや、もしかしたら、はじめから鍵がかかっていると分かっているから、敢えて叩いたりしないということなのかもしれない。

ショーン・ブランブル
アメリカ合衆国 ライター、教師

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn124 Apr. 2009)

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Fukuoka City
Published: Apr 1, 2009 / Last Updated: Aug 1, 2019

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