Now Reports

人の振り見て我が振り直せ

国人が来日する理由は山ほどある。親日家だから?日本かぶれ?ポケモン好き?素材を活かす料理に興味ある美食家だから?大学を卒業してもやることがなくて、何となく来日してしまった人もいるかもしれないけど、日本の地方にあるインターナショナルコミュニティに興味があるかた来日したんだ、っていう外国人はいないかもね。ここに住んでいる外国人たちは、日本での生活を楽しんでいる人もいるし、中には外国人をわざわざ避ける外国人もいるんだ。それこそ僕にとってはどうでもいいことだけど、ここで外国人を避けるなんて、箸を使ったり、死を迎えるのと同じくらい、どうしようもないことだと思うんだけどね。

フルタイムの仕事をもち、元気な日本家庭に婿入りした僕は、家族との夕食会や温泉旅行、韓国旅行(無礼講で思い存分泥酔するために仕組まれている企画)に連れ回されてヘトヘトに疲れてしまうこともあるけど、犬の世話やYou Tubeの動画アップ、テレビ番組を見たり家の中でだらだら過ごすことも多い。

昨年は、友人がFukuoka Nowの“外国人スター誕生”に出場するというので、彼のパフォーマンスを見るために博多に行ったんだ。少し早めに会場に着いて最前列に陣取り、カメラを用意して友人の演奏をばっちり撮影しようとはりきったよ。イベントのオープニングアナウンスをするMC(これがまた映画「プリンセス ブライド ストーリー」の登場人物にそっくり!)の合図に、観客がどっと集まって来た。僕は靴を履いて175cmくらいで、それほど背が高い方でもないんだけど、多くの日本人、特に女の子たちよりは背が高い。集まる観客でステージ周りがいっぱいになってきたから、僕は先に陣取った場所を僕より背の低い女の子たちに譲ってやったんだ。でくの坊みたいに立ってるガイジンの背中より、ステージのパフォーマンスを見る方がずっと楽しかろうと思ったからさ。

ステージも半分を過ぎた頃、今度はガイジン男性らが人を押しのけて前へ入り込んで来た。その入り込み方はスムーズで慣れたものだった。ちょっとすみません、という感じで入り込んで来て、そのままそこに居座るんだ。結局僕は、前に入り込んで来たヤツらの背中を見るはめになってしまった。それだけじゃない。彼らは振り返ると友達を呼び、まるで最初から場所取りでもしてたかのようにどんどん仲間を呼び込んでいく。そう、僕は「ガイジン」にステージ前エリアを奪われてしまったわけさ。時々後ろを振り返る彼らを見るたび、僕は「おいおい、また仲間を呼び込むつもりだな!」と警戒はしていたんだけど、ついに「いい加減、やめろよ」と言おうと思い立った。でも。大音響とお酒の入った会場では喧嘩になりかねなかったし、得意の「ヌンチャク」を抜きたくはなかったのでそこはおさえて、とにかく腕を高く伸ばして、頭より高い位置から友人のパフォーマンスを撮影することに集中したよ。

会場は他にも外国人おぼしき観客で埋まっていたが、その大半は会場の隅からイベントを楽しんでいる様子だった。インターナショナルな振る舞いをわきまえた人が集まるフクオカ・ナウのパーティでこんな目に遭ったのは初めてだし、きっと今後はないと思うけど…

僕が思うに、その無礼なヤツらは自分たちの“サイズ”を利用し、直接的な対立をしない日本人の気質を利用して難なく場所取りに成功したってこと。あちこちに頭をぶつける気の毒な背高のっぽの外国人の君たち、良い席が欲しけりゃ、早くに来ることだよ。キミの他人を顧みない行動が、周囲の外国人をも含めた多くの人に悪影響を与えるってことを考えたくない、っていうんだったら、キミやキミの家族に刺客を送りつける無礼を先にことわっておくよ。


マット・シュレイン/カンザスシティ・アメリカ合衆国/忍者刺客

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn168, Dec. 2012)

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Published: Nov 28, 2012 / Last Updated: Jun 13, 2017

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