博多湾に面する一之鳥居から本殿まで約850mの長大な参道が続く筥崎宮。その参道の真ん中あたりに、松・苔・石を組み合わせた枯山水の回遊式日本庭園があります。アジサイや百合、芍薬など四季折々の花が咲く花庭園の入口から右方向に進むと、今回の目的地、La Saison筥崎宮迎賓館に着きます。
真っ白なテーブルクロスがひかれたテーブルは、端正な佇まいの日本庭園を望むようにゆったりと配置されています。席に着いたら、この贅沢な空間での特別なひとときの始まりです。
2023年6月から、フランス料理の手法に和の要素を取り入れ、信頼のおける生産者から直接仕入れる九州産の食材を中心に、旬を大切にして食材全てを楽しむ、自然にもやさしいスタイルにリブランディングしたLa Saison筥崎宮迎賓館。器は、お隣・佐賀県有田で作られる有田焼きのシンプルでモダンなお皿で提供されます。
今回いただいたのは、ディナー16,500円コース。
お料理が6皿と、グラスシャンパンがついています(アルコールを飲まない人は、ノンアルコールのドライなスパークリンググレープジュース)。
<佐賀のホワイトアスパラのムースとキャビア>
<宮崎の鮎ときゅうり>
シグニチャーディッシュは<棚田米を使った一皿>。新鮮で上質な水が常に供給される上、日中寒暖差が大きい山間部にあるため、稲がゆっくりと育って甘みが強くなると言われる棚田で育った米。この米をアルデンテに炊き、とろりとしたスープをかけて響灘の紫雲丹と一緒にいただきます。
<オマール海老と糸島・久保田農園のビーツ>。福岡では毎年6〜7月にカナダ産のオマール海老がたくさん流通します。新鮮なオマール海老は、調理する直前まで生きているのだそう…
お口直しの”爆弾”(笑)。沖縄のパッションフルーツだったり、ライチと生姜だったり、その時によって食材が変わります。食べた人だけがわかるこのニックネーム、これもまた、この店のシグニチャーに命名したい一品です。
<うきはの鹿とイチジク>
ミンチにした鹿もも肉を網脂で包んで焼き、茄子とイチジクが食感と甘味を加えてくれる、組み合わせがユニークな一品。シェフが楽しんで作っていることが十分に伝わってくるこの肉料理は、果実味を感じる優美さもありながら、程よくタンニンもあるイタリアの赤ワインをペアリング。
そう!今回のリブランディングによって、大きく変わったことの一つが、ドリンクの存在です。シーズンや仕入れごとに変わるお料理に合わせて、お酒のプロが提案するアルコールのペアリングを楽しめます(ノンアルコールのペアリングは現在開発中なので間も無く!)。
アルザスの美しいロゼのクレマンや、サヴィニー・レ・ボーヌの「SHIROKURO」- 赤ワイン用ブドウ品種ピノ・ノワール100%で造る白ワイン、熊本の若き蔵元がテロワールの概念を日本酒に置き換えて作った「産土」など、味わいはもちろん、ストーリーも含めて魅力的なドリンクは、ソムリエであり唎酒師の資格をもつ杉山明日香さんのセレクトです。
デザートはパティシエの酒井真弥さんが手がけます。トマトを使った小さなグラス、そして、うきは産の白桃と黄桃を使った一皿など、新鮮な果実を使ったものが初夏には登場します。かつて、ホテル日航福岡にて同期だったというシェフとソムリエの二人。シェフの料理に並走しつつも、ちょっと遊び心があるデザートが、コースを最後まで楽しませてくれます。
ホテル日航福岡やフランスでの経験と培った技術を活かし、九州産の食材をモダンガストロノミーのスタイルで提供する坂山央樹シェフ。自身は魚料理が好きだとか。プリップリに仕上がったオマール海老や、皮はカリッと香ばしく、中はふんわり焼いた鮎など、技術確かな若きシェフが繰り出す品々は、ソースの組み合わせも絶妙で、食べながらにしてもう次の旬の食材が楽しみです。
メニュー(税込):
ランチ¥5,500(料理4品、パン、デセール、コーヒー&プティフール)、¥8,800(料理5品、口直し、パン、デセール、コーヒー&プティフール)、ランチペアリング¥3,850 / 3グラス or ¥5,500/4グラス
ディナー¥13,200 or ¥16,500(グラスシャンパンorノンアルコール、料理6品、口直し、パン、プレデセール、デセール、コーヒー&プティフール)、ディナーペアリング¥8,800 or ¥11,000/ 6グラス
※ディナーは2日前までの完全予約制、ランチも予約がお薦めです。
※ノンアルコールペアリングをご希望の方は事前要予約