1889年、明治22年4月1日、福岡市は誕生しました。今年、市制施行120年を迎えた福岡市の歩みを振り返る展覧会が福岡市博物館で行われています。展覧会の名前は「福岡近代絵巻」。福岡市が誕生したときは人口50,847人、現在の中央区の一部と博多区の一部が一緒になった小さな市でした。九州では、福岡市と同時に久留米市、佐賀市、長崎市、熊本市、鹿児島市が同時に市になっています。誕生当時は、人口でいえば鹿児島市、長崎市に次ぐ3番目の都市、国の中枢機関などは熊本市に集まっていました。
この120年間で福岡市はどのように成長してきたのか、市民の暮らしはどのように変化してきたのか、明治から平成までの古い写真やさまざまな資料で分かります。明治時代から昭和6年まで福岡市民に正午の時報を知らせ、通称ドンと呼ばれていた午砲(ごほう・大砲のこと)は博物館初展示、明治時代の博多の風俗を描いた祝部至善(ほうりしぜん)による絵も一挙に公開です。
また64年前に福岡の街を焼け野が原にした福岡大空襲前、美しかった市街地を写した昭和10年代の航空写真も初公開。他にも、福岡市民に大興奮をもたらしてくれた昭和30年代の西鉄ライオンズ大活躍の写真や資料も見逃せません。見逃せないといえば、展覧会期間中に、福岡・博多の街を舞台にした映画も上映されます。1本は高倉健さん主演の「網走番外地 悪への挑戦」、西区の愛宕神社など市内各所でロケがありました。それに「鉄腕投手・稲尾物語」、もちろん西鉄ライオンズの稲尾和久投手をモデルにした野球映画、そしてご存じ「博多っ子純情」、現在「博多町家ふるさと館」館長である長谷川法世さんが描いた漫画の映画化、これで博多っ子の実態が分かります。(これらの映画はいずれも福岡市総合図書館にも所蔵されているものです。)
昔の福岡だけではなく、今の市街地を1000分の1で忠実に再現した模型も必見。福岡・博多を知っている人も知らない人も楽しめる展覧会です。11月8日(日)まで開催。詳しくは福岡市博物館ホームページをご覧ください。
Originally published in Fukuoka Now magazine (fn130, Oct. 2009)