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ゲイジン*がみた福岡の同性愛事情

国人同性愛者

レズビアンコミュニティ

2003 年1月号の特集で多くの反響をよんだ『福岡のゲイ事情』。2回目となる今回は、表立って語られることの少ないレズビアン事情を在福歴の長いマリーがレポート。仲間を求める人、新たな出会いを求める人、単におしゃべりを楽しみたい人など、各々の想いが詰まった福岡のレズビアンたちの現状とは・・・。

最近、ゲイやレズビアン関連のwebサイトの人気が高まっているらしい。3年ほどのブランクをおいていた私だけど、またあの愛しいレズビアンたちに会いたいと思うようになっていたの。14年前に初めて日本に来た当時は、インターネットもあまり一般的ではなくて、ゲイコミュニティを探すには自分の足だけが頼りだったものよ。お気に入りのバーを見つけてからは数カ月間ほど足繁く通いつめたわねー。そしてある日、ついに店員に化粧室でキスの歓迎を受けたの!その小さな事件が、私が後に小さなレズビアンコミュニティをつくるきっかけとなったのよ。それから10年間ほどは、福岡の秘められた同性愛シーンに夢中になっていたわ。私はどこに行っても歓迎されたし、会員制クラブにも出入りしていたし。当時シングルだったせいか、行く先々で「ガールフレンドはいるの?」からはじまる様々な質問攻めにあったものよ。ちょうど私はバイからビアンにアップグレードしたばかりだったから、込み入った質問には答えることはできなかったけど。でも、とってもモテていたのは事実よ!

今回、改めてレズビアンシーンを開拓するのは、”かくれんぼ”みたいで楽しかったわ。昔の行きつけだったビアンやミックスバーを探すことからはじめたんだけど、友だちにも協力してもらってようやく見つけられたのは僅か1店。その懐かしきバー「@home」は、名前のとおりとてもリラックスした雰囲気の店で、オーナーカップルのヒトミとケイが温かく迎えてくれたわ。カウンター席に座り、よく冷えた生ビールを片手に会話は弾んだけど、昔のように質問攻めには遭わなかったわ…。

地元のゲイエリアとして知られる住吉にあるイイ感じのバー「Bar Dramatic」では、トモミママが満面の笑みで私を迎え入れてくれたわ。真っ白な壁が印象的なひとりでも行きやすい雰囲気の店よ。初めて行く店だったけど、まるで馴染みの店に行ったような気分にさせてくれたわ。

こんなふうに素敵な取材ができて良かったけど、同時にがっかりもしちゃった。以前と比べてレズビアンたちが集まる場所がすっかり減ってる!ラッキーにも私には今ガールフレンドがいるからいいけど、ビアンとの出会いを求める女性たちはどこへ行けばいいのかしら?そんなことを考えていたら、私の携帯に1通のメールが。@homeのケイがライブ情報を送ってくれたみたい。他にもDJや、@homeで出会った台湾人女性からのメールも届いていたわ。やっぱりビアンのコミュニティは今も健在なのね!環境が変化してネット上、特に携帯でのコミュニケーションが簡単になっちゃったから、実際に会うよりもネット上でのチャットを楽しむようになったのかしら?まるで遠距離恋愛みたいに実際に会うのはせいぜい月一回、っていう付き合い方が多くなっているらしいし。それで満足な人もいるかもしれないけれど、私は生身の人間とアツいお付き合いがしたいわ。あなたはどう?勇気をもって街に出る?それとも家に籠ってチャットするだけ?

by マリー・シンプソン

クールガイの溜まり場

今どきのゲイバー事情
僕が初めて福岡にきた90年代半ばは、ゲイバーがどこにあるのかはもちろん、そんな場所へ行く手掛りなど全くなかったので実際に行こうとしたこともなかった。当時は、路を行き交う格好いい男の子たちを眺めるだけで十分だった。ほとんどの日本男児は眼鏡をかけていてハンサムではなかったしね。その後再び来福したときには、東京での夜遊び経験をとおして”その類い”の場所での社交術を知ったんだ。ナウ2003年1月号で読んだアイルランド出身コリン氏のゲイ情報の記事のお陰で色々な情報も得られたしね!

コリン氏の当時の記事によると(これは現在の日本にもあてはまるのだが)、ゲイバーはどこも目立つような場所にはない。歓楽街として知られる中洲に集まっているだけでなく、中洲周辺の春吉や住吉にも分布している。日中はほとんど気づかれないような店構えで大半が閉まっているし、夜も外観からはゲイバーであるとわからないし、名刺サイズの地図を頼りに探すには実に心もとない場所にある。その上、風変わりな日本の住所システムでは外部から来た者、特に外国人にはわかるはずもなく、ゲイバー探しはひとつの挑戦でさえある。例え運良く探しあてたとしてもまだ落ち着くことができないぞ。大抵この手の店はカウンター席程度のこじんまりとた構えだから、最初の夜はいろんな店に行って、それぞれの場所でビール1杯引っ掛けながら自分にあう店を探してみることを薦める。

僕のいい加減な統計によると、バーの名前は不思議な英語である場合が多く、同様にバーのママたちにも英語名がついていることが多い。春吉にあるLove & Hateは事前情報によると20〜30代の若い男性向けの店らしいし、住吉通りにある8つのバーの中でも、一番メインストリートの近くにあったバー”クマ”のママは、ずんぐりした体型でひげを生やした男性っぽいタイプで店内も落ち着いた雰囲気だ。僕が居る間には、馴染みの客がママに韓国土産を携えてやってきて、店にキープしているウィスキーを飲んでいた。ちなみにこのキープ、日本のバーで普及している中身が入った酒瓶を預けておく独特のシステムで、外国のバーにはない、とても日本的な風習だ。それから日本のバーでは必ずしも会話は必要ないので、もしあなたが日本語をあまりわからなくても気にする必要がないはずだ。

それから数日して”くま”のいる店にまた行ってみた。欧米の店に比べると概して店の売上げも多くないと思うが、ママは相変わらず元気にしていた。実際”くま”はこの店を7年間も続けていると言っていた。鹿児島出身の彼は何年もの間、東京やその他の場所でレストランマネージャーとして働いていた。そして自分の店を持ちたいという願いを叶えるためにここ九州に戻って、バーを開店したのだそうだ。全ての準備は自分ひとりで行い、店の近くに住んで自転車で動き回っている。彼が休みをとることなんてないだろう、と思いながら「出かけるときはどうするのか?」と尋ねてみた。「ただ鍵をかけて行く。そして戻ってきたら、例えば1カ月経って、またいつものように店を開けるよ。」行き先は「ハワイはもう何十回も。それからNYや南太平洋なんかにも行った。」という。きっとお店は順調にちがいない。出張中の韓国人や中国人も多いらしい。日本のバーはあまり商売気がないように感じていたけど、数年前久しぶりに”くま”のバーを訪ねてその考えは吹っ飛んだ。店に入るや否や「えぇっと、弟さんの住んでいる中国へ遊びにいっていたんですよね?」5年振りに行ったというのに!また久しぶりに”くま”の居る店に遊びにいってみようか。

by マルコム・マッキンノン
ニュージーランド、ウェリントン在住の歴史学者。過去15年間に何度も福岡を訪れている。

 

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn122, February, 2009)

 

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Fukuoka City
Published: Feb 1, 2009 / Last Updated: Jun 13, 2017

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