糸島の漁村文化を体験する「うお旅」vol.1

しい海に、豊かな里山。福岡市の都心部から車で30分ほどの距離にある、福岡県の西端・糸島半島は美味しい食材も豊富です。周囲を海に囲まれるために漁村集落が点在し、人々の営みと一体となった特徴的な景観は、独自の雰囲気を醸し出しています。

今や国内外からの移住先としても人気の糸島は、恵まれた資源に加え、古くから独自の文化が育まれる土地でもあるため、自然や多様な人々との共生を諮るタイミングを迎えています。

そこで、この恵まれた資源や継承されてきた文化をただ消費するだけでなく、未来へと繋いでいくために、地域の有志が立ち上がりました。糸島に来て、見て、食べて、感じて、大切にすべきことを共有していくためのツーリズム、「地魚BANKうお旅」です。外から訪れる人、もてなす人も一緒になって漁村文化を体験します。

糸島での地産地消をはじめ、地魚の価値を高めるために精力的に活動する馬淵崇さん(株式会社いとしのいとしま代表取締役)を中心に、漁業従事者や料理研究家など地域の事業者が連携してさまざまな活動を行うプロジェクト「地魚BANK」が主体です。

第一弾となるツアーの出発地点は、糸島の玄関口、筑前前原駅からほど近い旧唐津街道に面して建つ1901年築の施設「古材の森(旧西原邸)」。地域の歴史と文化の交差点として、今はカフェ、ギャラリーとして営業するかつての豪商のお屋敷です。

この特別なツアー「うお旅」の門出を祝い、賓客を迎える時にだけ開けられる表門を通って玄関から入ります。

今から始まる二日間の旅。ウェルカムティーは福岡県八女産の抹茶。

美しい海岸沿いを通り、糸島にある8箇所の漁港のうちの一つ、船越漁港に向かいます。

冬になると、糸島の岐志、船越、加布里、福吉の4箇所の漁港で漁師が経営するかき小屋が期間限定でオープンします。

それぞれの漁港近くは牡蠣の養殖に適した環境で、牡蠣の養殖も行われています。特設されたかき小屋の裏では、牡蠣棚から引き上げてきた牡蠣の水揚げや、選別、研磨などが漁師たちによって行われています。

今回うお旅スペシャルとして、牡蠣磨きも体験!

余談ですが、農村社会が土地所有に基づいて築かれたのに対し、漁村社会は漁船や大型網の所有に基づいたものでした。そうしたことから、移動についての抵抗感が少ない漁村社会の人々は、積極的に新しい物事へ取り組んでいこうという気質があり、外来者に対しても開放的だとか。漁師によるかき小屋への取り組みを見ると、思わず納得です。

ちなみに、漁は生態系を守るために期間制限が設けられています。コウイカを対象とする漁業は2月の解禁で、それまでに漁具の手入れなど準備を行います。

ここ船越ではイカ籠と呼ばれる籠を使う伝統漁法が主流。漁師が港近くで栽培する植物「イヌツゲ」の枝葉を取り付け、産卵のため寄ってくるイカを誘い込みます。卵が産み付けられたイヌツゲは、籠から外して海に戻します。

漁村の営みを感じながら、辺りを散策。古い集落には必ず存在する神社も参拝。ここ引津神社は船越地区の氏神として古くから大切にされています。漁業に携わる人々は、航海を司る神社を信仰し、海上安全と大漁を祈願するため神事が多くの漁村に残っています。

糸島の冬の風物詩、かき小屋。糸島のかき小屋は、大半の場所がドリンクの持ち込みが可能で、好みのものを持ち込んで、独自に楽しむリピーターも多い。今季の牡蠣の価格は1kgあたり1,100円。これを目の前の焼き台(炭もしくはガス)で焼いて楽しみます。

ここ千龍丸は、鯛漁が得意な漁師の直営。うお旅スペシャルは天然真鯛の炭火焼き!博多名物の「おきゅうと」や、生ガキで乾杯!

漁村にある、創業124年目を迎える老舗醤油メーカー「北伊醤油」にも伺いました。昔と変わらぬ杉桶仕込みの製造工程を見学した後は、多様な醤油のテイスティング。

北伊醤油の仕込みにも使われる船越山の湧き水で淹れたドリップコーヒーと、醤油プリンで海辺でコーヒーブレイク。

途中、里山を一望できる私設の神社、松末五郎稲荷神社へ。神社を創設した五郎さんは、米・麦・大豆を生産する糸島の農家、百笑屋の先祖。このお稲荷さんは、百笑屋を営む松崎家が代々管理を行っています。

夜は、米の生産地としても知られる糸島の二丈地区の山中に佇むホステル・うぐいす座へ。オープンキッチンにて、今が旬のカマスの捌き体験。背開きをして塩を振り、明日の朝食のために一夜干しを作ります。

そして!クライマックスは地魚を贅沢に使ったスペシャルディナー。人気の海鮮丼店を営む馬淵さんらが出張シェフとして腕を振るいます。素材は全て糸島産!
メニュー:糸島野菜を使った前菜、真鯛とカツオの姿造り、ブイヤベース、枝豆ジェラート

糸島の地魚をたっぷり使ったブイヤベース。海産物の集積地でもある地中海に面する南仏の都市、マルセイユの名物料理です。地魚を突き詰めるために訪れた視察先のバスクでブイヤベースの美味しさに感動した馬淵さん。マルセイユ市が定めるスープの取り方などを細かく定めた「ブイヤベース憲章」に則ったレシピを地魚BANK仲間のシェフが作り、食材は糸島の「エビ漕ぎ漁」で獲れた小魚だけを使った糸島らしさを大切にしたブイヤベースです。

翌朝、静かな糸島の山中でいただく挽きたて、淹れ立てのコーヒー。珍しい中国産コーヒーの味わいに引き込まれます。

オープン直後のJF直営の直売所「志摩の四季」には、新鮮な魚介が豊富に並びます。近郊で飲食店を営む料理人たちも仕入れに訪れるため、鮮魚コーナーは平日でも賑わいます。

志摩の四季内にある食堂、志摩の海鮮丼屋でうお旅スペシャル朝食をいただきます。普段はランチのみの店舗なので、朝食が食べられるだけでも特別。しかも内容は、糸島の食材の中から厳選したものばかり。直売所に並んだ魚をみて喜んだイタリア出身の参加者の一声で、急遽一品追加(カマスの一夜干しの右隣)!

糸島のJFでは、漁業資源を守るために稚魚放流などの活動も行います。今回は、糸島ロータリークラブが、地元の幼稚園児と一緒に行う稚魚放流イベントに特別参加。約2,000匹のカサゴの稚魚を海に放流します。「大きくなって戻っておいでー」

定置網が大漁!今水揚げしとるばい!
その一報で漁港に向かうと、姫島からサバやアジを積んだ船が入ったばかり。ビチビチと勢いよく動く魚を、手際良く籠に入れていく漁師やJF職員。なんとお土産までいただき、家に帰って、習ったばかりの魚捌きを復習することができるおまけ付き。

糸島市民自慢の絶景ポイント「立石山」へ。中腹から10分ほど登ると、芥屋の大門から海水浴場、反対には唐津を望む絶景を楽しめる。

景色を楽しみ、下山すると、芥屋のビーチを眼下に、スペシャルロケーションでのランチタイム!

ランチのうお旅スペシャルは、タコのミンチバーガーに、フィッシュサンド。このロケーションでのランチにテンションは上がりっぱなしです。

そしていよいよ旅の最後は「#糸島明太子」で人気急上昇中のやますえ訪問。

糸島の酒蔵「白糸酒造」のお酒と、糸島のカノオ醤油の本醸造醤油を使った明太子は、まろやかで旨味たっぷり。糸島名産の海産物を使った出汁や、手軽な加工品が揃うため、お土産にもぴったり。糸島産真鯛を骨ごと食べられるように加工した鯛めしの素など、気になる商品がたくさん。うお旅に取り組む仲間でもある馬場 孝志さん(株式会社やますえ代表取締役社長)

今後、もっとたくさんの方に楽しんでもらえるようなツアーにすべく、改善やチャレンジを加えていく予定です。テストツアー第二弾もレポート予定ですので、みなさんお楽しみに!

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Published: Nov 10, 2021 / Last Updated: Nov 10, 2021

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