11月の糸島は、冬の海産物が旬を迎えはじめ、産地ならではの恩恵に預かることができる美味しいシーズンの始まりです。
今や福岡の冬の風物詩ともなったカキ小屋が、各漁港にて11月頃から冬季限定の営業をはじめ、地元の人はもちろん、国内外から多くの人が糸島の牡蠣とカキ小屋での楽しいひとときを求めて足を運びます。
▷ 糸島の全カキ小屋の最新情報 >> 糸島カキ小屋ガイド 2021-2022
それから、8年連続(!!!)日本一の天然真鯛漁獲量を誇る糸島では、脂乗りの良い新鮮なマダイが、産地価格で直売所に並びます。
家庭でも飲食店でも人気のサワラも旬!
全国のサワラ漁獲量上位に例年名を連ねる福岡県内でも、有数の漁獲量を誇る糸島では、この時期は脂の乗った大型のサワラ(鰆)が獲れます。
漁業関係者にとっては繁忙期、漁港も人出で賑わう活気あるシーズンに、地魚BANKうお旅のモニターツアー第二弾(第一弾レポートはこちら)が開催されました。
ツアー主催は、糸島での地産地消をはじめ、地魚の価値を高めるために精力的に活動する馬淵崇さん(株式会社いとしのいとしま代表取締役)。そして彼を中心に、漁業従事者や料理研究家など地域の事業者が連携してさまざまな活動を行うプロジェクト「地魚BANK」のメンバーが協力して、ツアー参加者をもてなします。
今回のツアーの出発地点は、旬の糸島を体感できる岐志漁港です。
世界でも有数の漁場・玄界灘へと繋がる引津湾に面する岐志は、万葉集に歌われるほど古くから存在する波穏やかな港で、神功皇后(日本書紀によると170~269年、14代仲哀天皇の皇后)の袖敷石と伝わる大きな石が近くにあります。龍宮石・神宮石とも呼ばれ、神饌を供えて豊漁を祈る風習が残っています
袖敷石の隣にある、神功皇后が花を掛けて住吉大神を祀ったという花掛神社(志摩西貝塚が旧社地)。
漁港から至近には、漁師さんたちの仕事場兼自宅が集まる漁村があります。職住一体となった生活環境は、その土地の人々の暮らしを色濃く反映していて、目に入る多くのモノが新鮮に映ります。
糸島にある8箇所の漁港のうち、カキ小屋がオープンする岐志、船越、加布里、福吉の4つの漁港の中で、一番小屋数が多い港が、ここ岐志。
カキ小屋では焼き牡蠣が主なメニューですが、オイル漬けなどの加工品もお土産に人気です(試食タイム!)。
岐志漁港からは、糸島で唯一の有人離島、姫島への定期船航路があります。朝夕中心に1日4便の市営渡船「ひめしま」が発着し、片道約16分。周囲3.8kmの約150人程が暮らす小さな島は、漁業が盛んで、島民みんなが顔見知り。今回のツアーは、そんな穏やかな姫島に、お弁当を持ってピクニックに行ってきます!
姫島港から歩いてすぐの場所にある漁港では、旬のサワラの水揚げ中です。姫島はサワラ漁を行う漁師も多く、大漁の船が港に戻ると島内放送が流れ、関係者が漁港に集まってきます。
11月から3月頃までに獲れる脂がのった2.5kg以上のサワラは、その場で活き締めし、氷で6時間締めるなど、改善を重ねてマニュアル化された高鮮度処理方法で処理され、「特選本鰆」という名前で高級魚として取り扱われています。
いよいよお待ちかね、ランチタイムです!
うお旅の醍醐味の一つは『食』です。地魚BANKうお旅の今回のツアーのために準備したのは、姫島で獲れた地魚を使ったスペシャル弁当です。
・旅の海苔弁:鰆ご飯、シイラのフライ、鰆の麹焼き、蛸しゅうまい、糸島産野菜の惣菜
食事で満たされた後は、姫島散策に出かけましょう。
向かうは、島名の由来ともなった姫島神社。ちょっとした高台にあり、振り返ると家々の屋根越しに見える景色は、旅気分を盛り上げてくれます。
そこから少し歩いた場所には、歌人・野村望東尼が幕末の動乱期に流刑され幽閉されていた獄舎が復元されて記念碑が立っています。結果的には、高杉晋作の計らいで半年ほどで脱出するのですが、明治維新における一幕が、糸島の姫島で繰り広げられたことは、覚えておきたい。
姫島には、木造校舎の姫島小・中学校があります。島の経済を支える漁業の歴史や漁法を伝える資料が展示されています。今回は特別に見学させてもらいました。(島民の手作りだとか…!!)
今回の旅のクライマックス、漁船で姫島一周クルーズです。
集落がある南側とは反対にある、地形が険しい島の北側も見ることができます。「坊主の首」と呼ばれるお坊さんの頭に見える、落ちそうで落ちない奇岩や、島の神様が生まれた場所として伝わる、高さ10m程の2つの岩穴「産の穴」など、渡船からは見ることができない景色が目の前に広がります。
糸島の海に詳しい糸島漁協のメンバーが、姫島や糸島の漁法について教えてくれます。
定置網にかかった小さなサバは、養殖して大きく育てて出荷します。ここで与えられる餌は、同じく定置網で獲れた小魚です。
獲れた魚、育てる魚、そして魚が育つ漁場を見学したら、次は実践です。姫島で取れる地魚を捌いてみます。姫島に縁ある料理研究家、佐藤彰子さんが、魚の種類によって変わる、切り方、皮や鱗の処理の方法を丁寧に教えてくれます。
口が長くて色鮮やかな魚、ヤガラ。インパクトある風貌とは裏腹に、甘みある白身が美味しく、一般店舗ではあまり見かけず、料亭などで好まれる高級魚。カワハギも、肝を醤油にといたものをソースにするなど、食べ方も一緒に教えてもらいます。
岐志漁港まで戻ったら、夕食は、地魚BANKの寄り合い処でもある「駅前のバル」で、寿司握り体験。乾杯して気分を盛り上げて、馬淵さんに寿司についてのレクチャーを受けたら、即実践です。
もちろん、食材はオール糸島産。環境に配慮したサスティナブルな漁法で獲った本日の糸島の地魚は;
イカ(海老漕ぎ漁)、コノシロ(建網漁)、ヒラメ(海老漕ぎ漁)、ヒラマサ(一本釣り漁)、ハマグリ(手掘り)、マダイ(一双吾智網漁)、本鰆(一本釣り漁)、ヤイトカツオ(一本釣り漁)…など。
鮮度がよく、脂が乗った大型のサワラは、透明感がある身は白くて甘みがあり、刺身として食べると美味。炙ったり、焼いたり、揚げたり、味噌漬けでも美味しく食べられるため、人気が高い赤身の魚です(身は白く見えるけれど、マグロと同じ赤身の魚)。
うお旅ツアー中にお誕生日を迎えたゲストには、糸島の地魚を使ったお寿司のケーキでお祝いです。
二日目!魚尽くしの旅は、漁港で朝を迎えます。昨日訪れた漁港とはまた異なる雰囲気です。
加布里漁港前に新しくできた一軒家、Rakuten Stay House からは玄関を出てすぐ目の前です。
朝ご飯は、糸島漁協が直営する直売所「志摩の四季」内にある「志摩の海鮮丼屋」で、うお旅スペシャル朝食をいただきます。
糸島で大きなヒラマサが獲れたとのことで、急遽メニュー入り!
旅の締めは直売所でお買い物。
今回のうお旅は、地魚によりフォーカスし、少し余裕のある旅程でした。今後、もっとたくさんの方に楽しんでもらえるようなツアーにすべく、改善やチャレンジを重ねていきます。テストツアー第三弾は12月開催予定ですので、みなさんお楽しみに!