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携帯スパイラルにご用心!

今どこ?」友人からのメール。「飲もっか、いつものとこ」そうか、今日は金曜日だ。ま、付き合うか。僕はメールで返事を打った「了解」。これは、自称ケータイ病である僕のとある一日だ。

19:13 電車の中での携帯の楽しみ方は人それぞれ。メール打つ人、音楽聴く人、写メール見てニヤける人、でも実はかなり滑稽な光景である。

20:10 いつもの居酒屋に到着、店内にはきれいどころのOLたちが!彼女たちも気になるけど、僕は真っ先にテーブルの上に携帯を置く。常に携帯が視界に入ってないと落ち着かないのだ。♪~そこに、男はつらいよの着信音、「ジムんちでパーティー、行く?」。

21:34 世の中には携帯以外にもたくさんの電子機器があるけど、僕はまず携帯を持たずに外出することは考えられない。ほーら、彼女からのメールだって来るしね。「どうして電話してくれないの?」僕は焦った。今日は会えないって伝えたつもりだったのに・・・。

22:15 実は僕は1時間も携帯が鳴らないと不安になる。電波の入らない場所や充電がなくなりそうな時だってそうだ。そこでふと思った。僕は携帯のない生活に耐えられるだろうか・・・。そんなことをぼんやり考えていたら友人から電話がかかった。僕はひとりじゃない。そんな安心感がこみあげてくる。

22:37 携帯を持つとプライベートな時間がなくなるのは確かだ。夜中の3時に国際電話がかかり、朝の4時にメールが届き、ようやく寝付いた頃には自分でセットした目覚ましに起こされる始末。ちなみにパーティーは始まったばかりだというのに、僕は次の行き先のことを考えている。友人に電話をし、長浜ラーメンを食べに行く提案をしたその時、彼女から再びメール。「ヒマ?」おっと、これは仲直りのチャンス?!「ラーメン行く?」僕は速攻彼女に返信し、パーティーを抜け出した。

23:45 タクシーに乗り込み、運転手にオススメの屋台を確認。タクシーを降りたところで彼女からメール。「もうすぐ着くよぉ(^_^)v」。

00:15 彼女も到着。運転中にメールを打つぐらいだし、彼女もおそらくケータイ病に違いない。違法だと分かっていても止められない、それほど携帯は魅力的で、特に日本製はあらゆる面で優れている。僕は時々、携帯という便利さに魅せられて、二度と逃れられない「携帯スパイラル」に呑み込まれたような気分になる。そんな僕にやすらぎを与えてくれたのは、還暦をすぎたあたりの屋台のご夫婦だった。彼らに夫婦円満の秘訣を聞いた「ケンカしながらコミュニケーションをとることよ」と笑って答えてくれた。僕らも小さなすれ違いがあってもちゃんと携帯でコミュニケーションをとっている。ケータイ病に悩まされる時もあるけど、そんなに悪くないじゃん!みなさん、ドオデショ?

by ネイサン・ミラー
アメリカ出身

イラスト by Shirley Waisman

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn80, Aug. 2005)

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Fukuoka City
Published: Aug 1, 2005 / Last Updated: Aug 1, 2019

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