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日本の文化「パチンコ」に魅せられたイギリス人のストーリー

本の文化「パチンコ」に魅せられたイギリス人のストーリー

今月お届けするのはイギリス出身のトムにまつわるパチンコ・ストーリー。ここ福岡で、サッカー教室の先生や英会話学校の先生として暮らしている彼がいかにしてパチンコの魅力にハマ
っていったのか?


土曜朝7時半。自転車に乗って45分、天神駅そばのパーラー明治天神に着いたばかりだ。パチンコ店では時々新装開店のスペシャルイベントデーを設けている。僕はいい台をとるために、列のひとをちらちら見ながら店の自動ドアの前に早起きな客たちと一緒に並んだ。つめたい雨が頭上に降りかかり、手のなかの吸いかけのタバコにまで吹き込んでくる。パチンコ雑誌の最新号を読みながらひたすら待つ。ポケットのなかで缶コーヒーを買うための小銭と、床から拾ったパチンコ玉をじゃらじゃら鳴らす。「あー、トムさん。また会ったね。」常連のひとりがくすくす笑う。そう、僕はパチンコにハマってしまっているんだ。

僕は昨夜もパチンコをした。その前の晩は仕事が忙しかったのでプレステのパチンコゲームをした。さらにその前の晩にはカノジョとパチンコをしにいった。僕らは一緒にパチンコをするのが好きだ。英会話の授業の合間に早めにご飯を平らげ、パチンコ屋に駆け込んで短い時間でも打つ。時には寝食を忘れてパチンコに没頭する。家に帰って眠っていても、目を閉じれば夢のなかで僕はパチンコ屋にいて、パーフェクトな台を探している。まるでサーファーがパーフェクトな波を探求するようにね。

僕が最初にパチンコをやったのは、足を怪我してサッカーが出来なかった時だ。はじめてパチンコパーラーに足を踏み入れたとき、スーパーマンの要塞みたいなでっかいガラスとネオンの光、たなびくタバコの煙、自動ドアが開くたびに道路にあふれる耳をつんざく騒音にビビらされた。僕のカノジョは、どうせそんな足じゃなにも出来ないし退屈だろうから、とパチンコに行くことを提案した。初めてのパチンコで僕は8万円勝った。悪くないスタートだった。

僕のたったひとつの大勝ちは、例によって英会話の授業の合間になんとなく打ったときにやってきた。1週間も誰も打っていないような古い台を見つけ、座った。するとすぐに最初の大当たりが来て、5分後にもう一度大当たりが来た。ところがこれからって時に仕事に戻らなくてはならなかったので、カノジョに電話をして駆けつけてもらった。僕が戻ってきたとき、大当たりはまだまだ続いていた。背後にはギャラリーができ、ドル箱を積み上げるガイジンをみんな見つめていた。その日、最終的に16万円勝ったのだった。

パーラーの外で列に並んでいる派手ないでたちのオジサンと話をする。彼はいくつかのポイントを授けてくれた。なまりの強い博多弁で、彼がパチンコ歴30年であることを教えてくれた。彼は僕と同じくパチンコにはまっていて、ここで会うのは6回目だった。「調子はどう?」と僕が聞くと、席のうしろにドル箱を積み上げてるときでも決まって、子供みたいないつもの笑顔で「ダメダメ」というのだった。

僕がパチンコをしていると、いつもほかの客が話しかけてくる。店長さんに食事をおごってもらったこともある。パチンコの素晴らしいところは客同士のコミュニティにあると思う。ラスベガスと違ってプレイヤーはご近所さんだし、麻雀と違ってプレイヤー同士で争うこともなく、自然とほかの客を応援してしまう。ガイジンだと日本ではなにかと目立ってちやほやされることが多いけど、おかげでディープな日本人パチンカーの友達がたくさん出来た。

でも僕がパチンコに魅了されている理由をわかってくれるガイジンの友達はとても少ない。彼らにとってパチンコはつまらなく、カッコ悪く、日本のオジサンのためのゲームである。それはいろんな意味で正しくもあり、間違ってもいる。そう、日本のオジサンはパチンコをする。でも日本の若者だって最近じゃパチンコをするのだ。面白さをわかってもらおうとパチンコに連れ出した友人は、たいてい千円分の玉を借り、台の前に座るやいなや5分もたたないうちに終わってしまい、不満に思ってさっさと出て行ってしまう。

ひとにその面白さをわかってもらうことの難しさでいえば、パチンコにおける忍耐はサッカーのそれによく似ている。コンスタントに動きがあったり、高得点をあげるほかのスポーツと違って、サッカーでは動きのない状態がずっと続いたり、エキサイティングなことが起こらないことに飽き飽きしてしまうことがある。だけど実際には、タックルをミスったり、完璧なロングパスがあったり、爆発的なスピードや一連のアクションの引き金 ー かかとでのパスや、ディフェンダーがポジションをはずれたりなどなど、選手がボールをコントロールして、ゴールネットにぶち込む最後の瞬間まで、ありえないきらめきの数々があるのだ。

で、パチンコで勝つということもまさしくこんな感じなのだ。銀玉が釘の間をぬうように走り抜け、心臓が高鳴り、目を見開き、スロットを回転させて何千というちいさなパチンコ玉を受け皿にどっさり落とす。にんまり笑顔で銀玉の海に指をざくざく泳がす(浜辺の砂にそうするように)という至福のときは唐突に予期せぬ形でやってくる。そうするとひとはすっかり満たされて、すっかり息もあがり、もっともっとパチンコをやりたくなる。

10時の開店。ようやくパーラーのドアが開いた。我々常連は子供のように店内に駆け込み、打つ台を物色する。先週打った台のデータをチェックし、頂点を示している統計を詳しく調べ、目を細めて釘の正確な位置を見極め、頭のなかのメモに記録する。そうして5,328回プレイされ、12回の大当たりを出している最新の台「海物語」の前に座った。マラソン選手のようにストレッチをして体をほぐし、準備完了。打ち出したら調子に乗り始め、万事快調。いい波に乗っかって、大当たりも近いかのように思えた。そして、当たった! だけどノーマル当たり。ドル箱一箱、つまり5,000円くらい。その後も打ち続けたが望みは無惨に打ち砕かれ、大当たりのチャンスを逃しっぱなし。僕は椅子にドカッと腰を落とした。オジサンが「調子どう?」と軽く背中をたたいた。「ダメダメ」。僕はオジサンに言った。
ご注意: フクオカナウではパチンコ、パチスロの節度ある遊び方を推奨します。いちレジャーとして楽しみ、お金の使いすぎには注意しましょう。

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パチンコもいいけどスロットもね!?


最近ではパチンコよりパチスロの人気が急上昇、台数も増えている。パチンコと違って「目押し」と呼ばれる技術が必要で、若者にも大人気だ。そしてパチスロは当たりもデカイ。まず千円で50枚コインが出る。1回のプレイには3枚必要なのでだいたい20ゲームは楽しめる。雑誌を見れば、攻略ポイントやヒントが4~500点も載っているので要チェックだ。攻略しがいのあるゲームだぞ。

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn65 May 2004)

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Fukuoka City
Published: May 1, 2004 / Last Updated: Jun 13, 2017

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