11月15日は七五三。日本では3歳、5歳、7歳という節目に子どもの成長をお祝いする風習があります。全国各地の神社で、正装した子どもたちとお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがお参りしている姿を見ることができるはず。もともとは江戸時代の武家に伝わる風習のようですが、全国に広まったのは明治以降とか。
ここ商人の町・博多でも子どもが3歳になると吉日を選んで「お膳すわりの祝い」が行われ、それまでは親の食べ物をもらっていたのが、3歳で初めて自分の膳が与えられ、箸を使って正式な食事を取り始めるというものです。そのお膳が「ポッポ膳」という子ども用の小さなお膳。ポッポ膳は白木の四角い足つきお膳に、目出度い図柄の松竹梅と鶴亀が描かれている可愛らしいもの。ポッポは鶴のことで、鳥をポッポと呼ぶ幼児語が由来です。
ポッポ膳は福岡市東区馬出(まいだし)で作られている博多の名産「博多曲物(まげもの)」で、スギやヒノキの薄い板を熱湯につけて柔らかくして成型し、桜の樹皮で綴じて作られます。馬出の近くにある筥崎宮の儀式に使われる祭具として発展してきた木工芸品といわれます。ご飯を入れるお櫃(ひつ)や弁当箱など生活用品としても使われてきました。今でも民芸品として人気で、櫛田神社前の「博多町家」ふるさと館などで購入できます。
ポッポ膳に置かれる食べ物は、お祝い事に欠かせない小豆ご飯、ダイコンとニンジンのなます、それに尾頭付きの魚。お茶碗も男の子用は外側が黒、内側が朱色、女の子用は外側も内側も朱色の漆の器だったそうです。今でも古い商家にはこんな儀式が残っているかもしれません。子どもたちはこのポッポ膳を前にして食べ方のマナーや箸の使い方、骨の取り方などを親から教わったといいます。
七五三といえば、千歳飴。長~い飴で親が子どもの長寿を願ったもの。今ではキティちゃんの千歳飴など多種多様な商品が作られているようです。
Originally published in Fukuoka Now magazine (fn131, Nov. 2009)