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英語=アメリカ語?

メリカ出身でない英語講師なら言われたことない?「先生、Colorという単語に”u”は入らないんじゃないですか?」

こんな質問はカナダ人やオーストラリア人、つまりアメリカ人でない私たちにとっては大きなストレスよね。生徒達に英語には “アメリカ英語” と “ノットアメリカ英語” の2つのスペル方法があることを説明しなければいけないなんて。アメリカ人のみがアメリカのスペルを使い、他の英語圏では異なるスペル方法を使うのだと。

例えばカナダで、発音は普通に「センター」でも”center”のスペルは”centre”なの。イギリス英語にも言語の歴史がある。昔は、現在綴っていうように発音したと考えられているけれど、スペルの基準が定められる以前に発行された読み物でスペルを決めたのかもしれない。

アメリカの場合、メートル法の使用を拒んだような頑固さで、アメリカ独自のスペルを確立しようと必死だったんじゃないかしら。フクオカ・ナウのニック・サーズもカナダ出身だけど、誌面ではアメリカ英語を基準として使っているって気づいてた?彼は「読者からスペルが間違ってますよって指摘をされたくないし、翻訳業務に関してもきちんとした英語を使わないといけないからね。」なんて言うけれど、私はアメリカ英語だけが正しいわけではないのよって言いたいわ。もちろん、アメリカのスペル方法の方が筋が通っている場合はたくさんあると思う。イギリスのスペル方法である “colour”の”u”は発音しないのにどうしてあるのって私も確かに思うもの。

何より私が一番気になるのは、日本の英語教育がアメリカ英語のみを正しい英語として教育していることなの。日本で先生をしているニュージーランドや、オーストラリア人の友人は授業で発音を指摘されたり、スペルの違いを間違いだと言われたりするのだとか。また学校側も教科書中に書かれているアメリカ英語以外の表現をとばしたり、講師に方言を使わないよう注意したりね。

最近浸透してきた、日本の学校の英語授業でALTと呼ばれる外国人助手が指導するシステムを設ける目的は、生徒達に、国際性や世界の多種性を学ばせるためなのに。生徒達にアメリカのスペルばかりを気にするのはただアメリカ人を真似てるだけよって私は言いたい。

この傾向はきっと日本の「島国の歴史」が影響しているのね。鎖国が長かった日本にとって、西洋文化がやって来たのは1800年代と比較的新しい。しかも日本に初めて大規模な西洋文化を持ち込んだのはアメリカな上、終戦後もアメリカの文化は広く浸透したし、今日のハリウッド効果も大きい。実際、アメリカンドリームや文化を描いたヒット映画は日本を含む世界中で上映されているし。

日本人はなんだかんだいっても結局、西洋の世界 = アメリカ だと思ってない?だけど言語教育において英語講師がやるべきことは、国際英語の視点からそれぞれの国の英語、発音、そして心を含めて英語という言語は一つではないのだと教えることじゃないかしら。ドォデショ?

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn93 Sep. 2006)

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Fukuoka City
Published: Sep 1, 2006 / Last Updated: Aug 1, 2019

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