福岡は数多くの音楽家や芸能人を生み出していますが、クラシックの世界も例外ではありません。その象徴ともいえるのが“九響”の通称で親しまれている九州交響楽団。福岡市を本拠地とするプロのオーケストラで、地方オーケストラとしてはかなり古い歴史を持っています。前身の福岡交響楽団が結成されたのが1953年、九州交響楽団へと名前を変え、プロとして活動を始めたのは1973年です。
現在では九州を中心に年間約130回の演奏活動を行っており、これまでに東京や大阪などでも公演を行ってきました。また福岡と姉妹都市の韓国・釜山をはじめ、アジアを中心に各地で演奏を行い、アジアの玄関口・福岡のオーケストラとして国際交流にも取り組んでいます。近年では演奏技術の高さにも定評があり、難しい曲目にも意欲的に挑戦しています。
九響が練習場所としている末永文化センターも素敵な場所です。豊かな緑に囲まれた建物には、理想的な音響のホール、美術の展示・発表の場としてのギャラリー、福岡県出身の画家・織田廣喜(おだひろき)の美術館などがあります。ホールはオーケストラの練習日以外は一般に貸し出され、音楽や演劇の練習や発表会などに利用されています。
地方にプロのオーケストラがあることのメリットは、演奏が気軽に聴けるだけではありません。その都市の音楽文化を育て、プロを目指す音楽家を育てるという大きな意味があります。これからのシーズンは年末恒例となったベートーベンの第九の演奏会や、華やかなニューイヤーコンサートなどが行われます。年末年始は地元オーケストラの演奏会に行ってみてはいかがでしょうか。
Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn168, Dec. 2012)