さまざまな植物が芽吹き、気温も暖かくなる春は、日本の人々にとって待ち焦がれた季節です。この時期にしか体験できない味わいやイベントがたくさんあります。福岡市民が心待ちにしている春の楽しみ方をご紹介します。
春の味わい
日本の食べ物には旬があり、春にしか味わえない食べ物がたくさんあります。その中から、福岡に春の訪れを告げる魚と野菜を紹介します。
江戸時代から続く「シロウオ漁」
西区の室見川で、毎年2～4月にだけ行われる「シロウオ漁」。シロウオはハゼ科の一種で、体調4～5cmの透明な小魚です。産卵のために博多湾から上ってくるシロウオを、昔ながらの「やな」と呼ばれる仕掛けで取るのが「シロウオ漁」です。竹を使った「やな」は江戸時代から続く伝統的な漁法で、福岡県でシロウオ漁が行われているのは室見川だけです。
Photograph provided by Fukuoka City.
室見川の河畔にはシロウオを食べさせる料理店も並んでいます。天ぷら、卵とじ、吸い物など、さまざまな食べ方ができますが、とりわけユニークなのが「踊り食い」という食べ方。生きたままのシロウオを酢醤油と一緒にいただきます。
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春しか味わえない高級野菜「博多蕾菜」
1年のうち年明けから3月頃までしか出荷されない「博多蕾菜（つぼみな）」は、花の蕾のような形をしていることから「蕾菜」の名がついたアブラナ科の野菜です。福岡県でしか栽培されておらず、高級食材として和食レストランなどでも出されています。シャキッとした食感とピリッとした程よい辛味が、和・洋・中さまざまな調理法に合います。
春の花
日本の春を代表する花としては桜が有名ですが、他にもさまざまな花が咲きます。福岡市内でおすすめの花のスポットを紹介しましょう。
春の花であふれる「海の中道フラワーピクニック」
博多湾に突き出すように延びて、福岡の中心地と志賀島を結ぶ「海の中道」。ここに整備された国営公園「海の中道海浜公園」では、春を告げる花の祭典が毎年行われます。
3月中旬から5月中旬まで、スイセン、菜の花、桜、チューリップ、アイスランドポピー、パンジー、バラなど、さまざまな花が次々に咲きます。最近の人気は青い空や海に溶け込むようにブルーの花畑が広がるネモフィラです。ドッグランやキャンプ場、ミニ動物園などの設備もあり、のんびり過ごすことができます。
近くなのにまるで遠くに来た気分「能古島」
博多湾に浮かぶ「能古島」は姪浜港から船で10分足らずで、ちょっとした旅気分が味わえる離島です。島の北側に広がる「のこのしまアイランドパーク」は、四季折々の花が楽しめる場所として有名です。2月下旬から咲き始める菜の花に始まり、桜、リビングストンデイジー、ポピー、つつじ、マリーゴールドなどが初夏にかけて咲き誇ります。
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春は黄色い菜の花とピンクの桜との競演が楽しめる絶好のシーズンでもあります。博多湾が一望できる芝生広場やバーベキューハウス、宿泊できるコテージなどを備えています。島内にはバスルートがありますが、天気のいい日はハイキング気分で歩いたり、レンタサイクルで回るのもおすすめです。能古島には古代の遺跡などがあり、釣りや海水浴が楽しめるスポットもあります。
春の祭り：福岡市民の祭り「どんたく」
博多を代表する春の祭りといえば「どんたく」。200万人以上の人出があり、ゴールデンウィーク中に開催される祭りとしては日本一の規模です。毎年5月3・4日に開催され、気軽に参加できる市民の祭りとして昔から人気があります。
Photo provided by the City of Fukuoka
オランダ語で休日を意味する「ZONDAG」が語源と言われる「どんたく」。福岡中心部のメインストリートでは、企業・団体・学校などで結成されたグループが、工夫を凝らした仮装でパレードします。最もオーソドックスなスタイルは、「花笠」をかぶって「しゃもじ」を叩きながら歩くスタイルで、新天町商店街による演出です。また、市内のあちこちにステージができて、踊りや歌が披露されます。パレードやステージに参加する市民は3万人以上とされます。
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もともとは840年ほどの歴史を持つ「博多松ばやし」という行事で、当時の領主のもとへさまざまな仮装をして行列して向かい、踊りや歌を披露するものでした。「博多松ばやし」の行事は現在も残っていて、「どんたく」のパレードとは別に、博多の古い地域で行われています。地域の人々が昔ながらの扮装で町内を挨拶して回ります。
>> 博多どんたく港まつりガイド
